現代アートはよくわからない、理解不能だと思っていませんか?そんなアートアレルギーを解消するために現代アートを中心に紹介していきます。今回はインスタレーションアートの楽しみ方をお伝えします。
インスタレーションアート、この表現手法は一言で言えば空間をアートに変えてしまうというものです。例えば上の写真はMartin Creedというイギリスのアーティストの作品で部屋全体を風船がギュウギュウに占めています。
またイタリアのアーティスト、Esther Stockerの作品では幾何学的に空間が構成されています。これらの作品のようにインスタレーションアートとは特別な空間を作り上げ鑑賞者に体験してもらうといったものです。
ヘテロトピアという概念
このインスタレーションアートを支える考え方にヘテロトピアというものがあります。皆さんユートピアという言葉を聞いたことがありますか?ギリシア語でユー(eu)は良い、トピア(topos )は場所という意味で合わせて理想郷を意味する言葉です。それではディストピアはどうでしょうか?これはユートピアの対義語で日本語で地獄郷と訳されることもあります。
ギリシア語で異なるという意味を持つヘテロが頭についたヘテロトピアは直訳すると「異なる場所」。現実の枠組みの中で日常から断絶した異質な空間とも言えます。そのような場所で人は普通とは異なる思考の枠組みで行動をすると言われています。
例えば墓場。墓場は日常から断絶された特殊な空間です。墓場で人びとは先祖を敬ったり、幽霊が出るのではないかと怯えたり、大声でしゃべるのを控えたり、日常とは異なる行動を取りますよね。そのような場所がヘテロトピアです。
この文脈で考えるとインスタレーションアートというのは、人為的にヘテロトピアを作り出し人びとの思考や行動に影響を与える試みだと解釈できます。インスタレーションアートを体験する機会があれば空間だけではなく、自分の考え方や行動の変化に注目してみてください。きっと新たな発見がありますよ!