ジョセフ・コスースによる「1つと3つの椅子」(1965)というタイトルのこの作品。左に椅子の写真、真ん中に椅子、右に椅子の辞書による定義が配置されています。
ここで、写真は2次元的な記号として、実物の椅子は3次元的な記号として、定義は文字記号としてそれぞれ椅子を指しています。
「写真と定義文が記号だというのはわかるけれど、実物の椅子は椅子そのものじゃん」と思うかもしれません。ここで3次元の椅子はオブジェ化されているのです。
どういう意味かというと、椅子って座るものですよね。座れない椅子はもはや本質的な意味で椅子ではありません。展示されている椅子は座る目的でそこに置かれていません。つまりそれは椅子というより、単に木材でできたオブジェであるということです。
この3つの記号を提示することで、椅子という1つの概念に対する問いかけをするのがこの作品のコンセプトです。
このように、色とか形よりもコンセプトやアイデアがメインとなる作品をコンセプチュアル・アートと言います。コンセプトやアイデアに意味があり、制作や作品そのものに意味はないというスタンスをとっています。
日本の世界に名だたるコンセプチュアル・アーティスト
彼女のコンセプチュアル・アートの一つ「地球」では「地球が自転する音を聴くこと。」という一文がもはや作品です。
彼女の芸術のコンセプトは観客から行動や想像を引き出しふだん認識することのない感覚に向き合わせるといったものでした。そこが重要であり手段は意味を持ちません。
ここまで来るとなんでも芸術になりますねw
アートって何なんでしょうか?