力強くて太い線。鮮やかな配色。そしてなにより、個性豊かなキャラクターたち。きっとユニクロとかで見たことある人も多いはず!1980年代アメリカの代表的ポップアーティスト、キース・ヘリングの作品です。
彼はぼくが尊敬するアーティストでもあり、いろいろ書きたいことはあるのですが今回は彼のアートに対する考え方と、その考え方がどのように作品に反映されているのかを伝えます。
Art is for everybody
彼のメッセージはシンプルです。それはArt is for everybody。
「アートってのは全ての人にオープンであるべき。人びとが理解できないアートを作り上げて、優越感に浸ろうとするアーティストなんてナンセンスだ。」と彼は自分の日記に書きました。
彼の活躍した当時のアメリカではミニマル・アートが流行っていました。たとえば、アルミニウム製の箱が等間隔に並べてあるだけの作品だったり。彼はきっとそのようなアートシーンを批判的な目で見ていたのでしょう。
抽象絵画やミニマル・アートなど複雑で難解になっていくアートの世界は普通の人々には閉ざされ隔離された世界でした。
しかし、彼はアートと普通の人びとの関係をこのように綴っています。
「ある意味、鑑賞者自身がアーティストだと言える。なぜなら、彼らは自分たちの方法でアートの意味を解釈し新たな価値を作り出すことができるから。アートの世界で中心となるのは芸術機関ではなくて個人なんだ。」
彼のArt is for everybodyという主張は彼の生き方やアート活動に一貫している重要なアイデアです。
誰でもわかるアートを
この信条を胸にキース・ヘリングは独自のスタイルを編み出していきます。
彼が目指したのは言語も、人種も、時間も超えて人びとに届く普遍的なイメージ。彼は原始美術にそのヒントを見つけました。
原始美術っていうのはこういう先史時代の壁画だったりを指します。先史時代にシンプルな形で表現された人や動物は現代のぼくたちでも理解することが出来ます。シンプルさは普遍性を生み出します。
キース・ヘリングは普遍的な原始美術のパターンを現代に再現しなおすことで誰もが理解できるアートスタイルを実現しました。
キース・ヘリングの作品は今でも世界中の人に愛されています。それは彼のアートに対する信念とわかりやすいアートスタイルの賜物なのだと思います。