閉塞的な社会で
遊園地の錆びた飛行機と合体したサラリーマン。飛んでいきたいけど飛べない、夢が敗れた男の悲哀を皮肉的にユーモラスに描いた石田徹也の代表作「飛べなくなった人」。彼の作品は現代における生きづらさを代弁してくれるかのようです。彼自身美術系の高校に行きたかったのに親からの強い要望で普通校に入れられたり、就職氷河期に直面して就職をあきらめたりと生きづらい世の中を歩みました。
行きたくもない学校に無理やり行かされて、
学校生活が終わればすぐに就職活動。
ロボットのように働き、食事をして、寝て、起きたらまた仕事。
人はいつ飛べなくなるのだろうか
今の日本人なら誰でも感じる閉塞感のようなものが作品に漂っています。やってられっか!ですよ。彼の作品はおかしくもあり恐ろしくもあります。こういうことあるよね~と思ってよくよく見たら描かれていたのは自分の姿だった的な。
でもこんな生きづらい世の中でも自由を手にして楽しく生きている人もいます。人が飛べなくなるとき、それは生きづらい社会に合わせて自分を順応させてしまったときなんじゃないでしょうか。ぼくは石田徹也の絵を見る度に自分と社会との繋がり方を考えさせられます。