ゾンビ。それは息せぬ生者。没個性の恐怖。人間性の排除。圧倒的数の暴力。生と死の曖昧。秩序の崩壊。
ぼくはそんなゾンビが大好きでよくゾンビ映画を借りて見ます。ゾンビ映画を見ながら哲学的な気分になるのはぼくだけでしょうか。
それはさておき、今回は「ゾンビ音楽」なるものを発見したのでどのようなものなのか紹介したいと思います。
Listen to Undead
「ゾンビ音楽」とは作曲家である安野太郎さんが考案した概念であり楽器でもあります。
木箱にリコーダーが設置してあって、それらのトーンホールを制御する指代わりのパーツ、その動作を制御するコンピューター、そしてリコーダーに空気を送り込むエアーコンプレッサーから構成された機械です。
そんな機械により奏でられる音楽はヒョロヒョロでなんだか不安感を掻き立てられるようなメロディーです。
たぶんそれは音楽の背後に人が見えないからだと思います。音の強弱とかタンギングが全くありません。うまく演奏しようとする意思とそれに伴う音楽的表現の欠如が独特な世界を作り出しています。
安野さん曰く、「ゾンビ音楽」とは「音楽器官をかろうじて留めたまま、その器官が本来持っていた意思とは別の意思で演奏される音楽」と定義しています。
これ、まさしくゾンビですよ。ゾンビは手とか足とか人間の器官はかろうじて留めているんですが、本来の人間的意思とは別の意思でそれらが制御されて動いているわけです。
それがゾンビというモンスターの持つ悲哀であり恐ろしさでもあります。それを音楽に適応したこの「ゾンビ音楽」というジャンル、天才的です!
音楽から人間の心と体を排除したときどうなるのか。その一つの答えが「ゾンビ音楽」だと思います。果たして、これが未来の音楽の形なのでしょうか。
なお、この記事を描くにあたって参考にしたソースはこちらです。