アメリカのアーティスト、シェイ・ヘンブリーはある日大規模な美術展覧会に参加しそのクオリティに失望します。そこで彼は自分ならもっと良い展覧会を開けるはずだと思い、自分で展覧会を企画しようとしました。
目指すは彼の基準を満たすアートの並ぶ国際的な展覧会。けれど、そのためには世界中を旅して協力してくれるアーティストを集めないといけません。大規模な展覧会を企画していたので、大体100人くらいのアーティストが必要でした。
しかし現実は厳しく、そう簡単に基準を満たすアーティストなんて見つかりません。悩んだあげく、彼はシンプルな解決策を思いつきます。
それは、100人のアーティストを捏造すること!彼は100人のアーティストそれぞれについて芸術に対する動機やスタイルを考えだし、古典的な絵画から屋内でのインスタレーションまで様々な個性豊かな作品を創り出しました。そう、まるで小説作家が登場人物を創りあげていくように。
そして、2年後彼の作り出した100人のアーティストの作品を展示するSeekという展覧会を開きます。
彼の創り出したアーティストたちの作品
そんな彼の展覧会からいくつか作品を紹介します。
これはネル・レメルの「反転した大地」という作品。彼女は農耕に関心があります。不毛な土地を空を使って浄化しようという意図がこの作品にはあります。大きな鏡を土にはめ込むことで、鑑賞者は空を見下ろすという今までにない新しい体験をします。
実際は彼が自分で実家の裏庭を2日間かけて掘って作ったものなのですが←
これはシルバー・ドーベルマンズという芸術家のグループによる「常識フェンス」という作品。彼らの主張は我々はとても甘やかされているというものです。彼らはその主張を有刺鉄線の刺すべてに警告サインをつけることでアートとして表現しています。
と、こんな感じで100人のアーティストとその作品が全てシェイ・ヘンブリー1人によって創りだされています。この「なければ創っちゃえ精神」最高です。
一人の人がこれだけのクリエイティビティを発揮できるのかということに驚きますね。個人の限界という概念を壊してくれるような話です。
2011年のTEDトークで彼はさらに多くのアーティストたちを紹介していますので興味があれば是非チェックしてみてください!