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地球がキャンバス!?ロバート・スミッソンのスパイラルジェティ



ユタ州のグレートソルト湖にある渦巻き状の堤防。実はこれはただの堤防ではなくてアート作品なんです!


ロバート・スミッソンの代表的作品「スパイラルジェティ」(1970)はランド・アートという岩、土、木、鉄などの自然の素材を使って大地に展開されるアートジャンルに属します。


今回は「スパイラルジェティ」をサイトとエントロピーという概念から読み解いていきます

サイトスペシフィックなアート

まずサイトという概念について。サイトというのは特定の野外に置かれた作品のことを指します。


サイトのポイントはアート作品がある特定の場所に大きく依存するということです。


たとえば、「スパイラルジェティ」のあるユタ州グレートソルト湖は潮の満引きで水位が変わるのですが、作品製作時は記録的に水位が低かったため、「スパイラルジェティ」は数年に一度のタイミングでしか湖面にあらわれないそうです。


そしてグレートソルト湖は名前の通り塩分濃度が海水より高いという特徴も持っています。そのため塩湖特有のバクテリアが水面を赤く染めるとともに、徐々に作品が分解されていきます。


これらの効果は偶然ではなく、全てアーティストによって計画されています。つまり、「スパイラルジェティ」はグレートソルト湖じゃないと成立しないアート作品なんですねー。

衰退しゆく運動エントロピー

また、芸術作成に関してロバート・スミッソンはエントロピーという概念にこだわりを持っていました。


エントロピーは外界とのやりとりの無い閉鎖されたシステムの中ではすべてのものは徐々に衰退していくという概念です。


たとえばバナナをほったらかしにしてたらどんどん黒くなっていきます。黒くなり始めたら黒くなる一方でいきなりフレッシュなバナナに戻るということはありえません。これもエントロピーの現れだと言えます。


「スパイラルジェティ」の始まりと終わりを融合する渦巻き形や、微生物により分解され水没していく設定はロバート・スミッソンによるエントロピーの究極の表現なのです。




個人的には赤い海と渦巻き模様の組み合わせが原始的な世界を彷彿とさせて神秘的だなぁと思います。


1970年に制作されたこの作品。今でも見ることができます。詳細はRobert Smithson, Spiral Jettyよりどうぞ










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